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- はり治療って痛いの?
- 受けた人が痛くないって言ってたけど本当?
- はり治療って痛い方が効くの?
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といった疑問にお答えする記事です。
私は鍼灸師であり、国立大学医学部修士課程を修了した医学修士です。
日々の臨床に携わりながら、鍼灸の有効性を医師と共同研究しています。
医学的にも有効性の高い鍼灸を安心して活用していただくため、鍼灸未経験の方が抱きやすい疑問「はり治療って痛い?」についてお答えしていきます。
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鍼灸の「はり」は痛い?痛くない?
結論から言いますと、鍼灸のはりは「思ったより痛くない」です。
針のイメージの代表は注射だと思います。注射の痛みを10だとすると、鍼灸のはりは0〜2程度の痛みです。それも、平均的に分布しているのでは無く、0〜1に集まってる感じです。
私が所属する病院内の鍼治療センターでは、注射だと怖くて泣きじゃくる4歳の女の子でも、はり治療だったら平気で受けています。
では、なぜ、鍼灸の「はり」は痛くないのでしょうか?
針が痛いのは痛点があるから。
はり治療の痛みの少なさの秘密は、はりの細さにあります。
人は、痛みを皮膚のどこでも感じるわけではありません。痛点という、小さなポイントに一定以上の刺激があったときだけ痛みを感じます。痛点の大きさは0.1mm程といわれています。皮膚には、この小さな痛点が1平方センチメートルあたりに100〜200個あります。
イメージとして、痛点が隙間無く並んでいるように感じるかもしれませんが、痛点の間には意外に距離があります。この痛点の隙間を針がすり抜ければ、痛みを感じることはありません。
毎日インスリンの自己注射をしなければならない、子供の糖尿病患者のために開発されたナノパス33は、痛みの少ない注射として有名です。よく使われる採血の注射針は0.7〜0.9mmほどの太さですが、ナノパス33は0.2mm程の太さです。針が細ければ、痛みは感じづらいのです。
痛みが少ない秘密は鍼灸に使う「はり」の細さ
鍼灸で良く使われる「はり」は0.14〜0.2mmと注射針の3分の1程度の細さです。ナノパス33と比べても細いです。
鍼灸の「はり」は、注射の針よりも蚊の針に近い細さです。蚊が血を吸うために針を刺しても痛みをそれほど感じないように、鍼灸の「はり」も痛みを感じにくくなっています。
下手な鍼灸師だと痛い?
はりの細さの他にも、鍼灸師は「はり」をするときに、患者さんに痛みを感じさせない工夫をしています。
鍼管と呼ばれる細い管を使って「はり」をするのも、その一つです。刺激が加わるところの周りに、触れているものがあると痛みが出づらいという身体の不思議な性質を利用したものです。江戸時代の杉山和一が発明した日本発の工夫です。
同様の理屈で押手(おしで)という工夫もあります。「はり」を刺すのとは反対の手で皮膚に触れることで、「はり」を刺すときの痛みを防ぎます。
日本の鍼灸師は「はり」を刺すとき、弾入(だんにゅう)といって、「はり」を弾くようにして皮膚に入れていきます。皮膚に「はり」が入る際に、入るスピードが遅いと痛みを感じやすくなります。弾入で勢いを付けることで、「はり」が皮膚に入る際の痛みを防ぐ工夫です。
押手と弾入には、ある程度の技術が必要になります。鍼灸師の腕が悪かったり、施術が雑だったりすると、「痛いはり」になる事もあります。
鍼灸の「はり」はどのくらい痛い?
こうして、鍼灸師は「痛み」を防ぐために様々な工夫をしていますが、どうしても痛点に当たってしまうことがあります。
その時の痛みは、注射と比べると小さなものです。最大でも毛抜きで毛を抜いた程度のもので、感じるのも一瞬です。
鍼灸のもう一つの痛み、得気
鍼灸には、皮膚で感じる痛みの他に、筋肉の深くまで鍼を入れたときに感じる「ズーン」という独特の痛みがあります。痛みというよりも、「重さ」や「だるさ」として感じることの方が多く「ひびき」と表現されます。中医学では気が通じた証拠としていて、得気(とっき)と呼んでいます。
鍼灸は痛いと効果が高い?
「はりは痛い方が効果が高いんですか?」と質問されることがあります。
結論として、痛みと治療効果に相関関係はありません。
痛み、とくにひびき(得気)があると、「効いたー」って感じになるので、好む人もいます。しかし、効果としてはプラシーボ効果の域を出ません。
現在、私は医師と共同で鍼治療の効果を検証しています。一年にわたって、医師と研究者の監修のもと、100件以上の脳機能解析、1000件以上の臨床検証を行ってきましたが、痛みと治療効果には関係性が見いだせませんでした。
痛くなくても、はりは十分な効果を発揮します。
鍼灸よりも指圧・マッサージの方が痛い!?
刺激量で比べると、鍼灸よりも指圧・マッサージの方が痛いと言えます。
実際、「マッサージが痛くて苦手」という患者さんが、鍼灸院に多く来院されます。
民間で行われている指圧やマッサージでは、痛む患部やコリのある部分にグリグリと強い刺激を与えることも珍しくありません。
コリがある部分は、もともと強い負担がかかっていてダメージがあるのに、そこに強い刺激を与えると、組織が壊れてしまいます。組織が壊れると、痛みと共に、快楽物質であるβ-エンドルフィンが脳内で産生されるため、「イタ気持ちよい」という感覚が生まれます。快楽物質は麻薬と成分が共通しています。クセになって「もっともっと!」と刺激が強まる傾向にありますが、さらに組織が壊れることになります。
組織が壊れると、炎症が起こります。施術を受けた次の日に、揉んでもらったところが痛む「もみ返し」は炎症なのです。
鍼灸は痛みが少ない上に安全
指圧やマッサージと比べて、0.1〜0.2mmの「はり」は痛みが小さく、もみ返しなど副作用の発生も少ない上に軽微です。
手技療法では、力任せの施術が事故に繋がります。
2007年からの5年間で国民生活センターに寄せられた、整体・カイロプラクティック・マッサージによる骨折などの事故の相談は825件でした。これは増加傾向にあります。比べて、国民生活センターに寄せられた鍼灸による事故の相談は報告されていません。
施術を受ける人数に大きな差があることは確かですが、指圧・マッサージと比べても、鍼灸は刺激も少なく、事故も少ない施術と言えるでしょう。
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痛いイメージを外して鍼灸を見てみませんか?
鍼灸は幅広い症状に対応できます。医師との研究で、薬や手術以上の効果が確認された症状がいくつもあります。マッサージや指圧と比べても、抜きんでた効果が確認されています。
人間の痛みの中で最も強い痛みの一つとされる、末期ガン患者さんの痛みにも、はり治療が効果を発揮しています。モルヒネを始め、他のどんな治療でも効果がなかった痛みが、はり治療を一度するだけで、痛みが数ヶ月間抑えられた例を、私自身の臨床でいくつも経験しています。
強い痛みが緩和されると、生活の質が上がります。
末期ガン患者さんの中には、痛みのために攻撃的な態度になってしまう方もいます。はり治療で痛みが緩和されると、本来の自分らしさが戻ってきて、家族や友人と充実した時間を過ごしていただける事も少なくありません。
様々な治療でも解決できなかった、あなたが抱える不調に、鍼灸は応えられる可能性があります。「痛い」というイメージだけで、選択枝から外されてしまうのは、非常に勿体ないと感じています。
一度、「痛い」というイメージを外して、鍼灸を検討してみて下さい。
あなたが自分らしい日々を取り戻すために、鍼灸を上手に活用していただく事を願っています。
まとめ
[st-midasibox title=”まとめ” fontawesome=”fa-check-circle faa-ring animated” bordercolor=”#FFC107″ color=”” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”” borderradius=”5″ titleweight=”bold”]
- 鍼灸の「はり」は思ったよりも痛くない
- 痛みが少ない秘密は「はり」の細さにある
- ほとんど痛みは無いが、たまに毛抜きで毛を抜いた程度の痛みがある
- はり治療の痛みと効果は関係が無い
- はり治療は他の療法と比べても痛みが少なく安全である
- はり治療は幅広い症状で高い効果が確認されている
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鍼灸は効果が高く、副作用も少ないおすすめの治療です。鍼灸について良く知って、上手に活用していただきたいと思っています。
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