20代女性/通院7回(2025年3月/週2回)
症状と来院まで
来院4日前の昼食後から胃のあたりがむかむかし、下痢が出現。その後も食事のたびに下してしまい、固形物を避けている状態。風邪の症状はないが、身体の冷えを強く感じるため来院。
初診時の所見
- 腹部触診:へそ下と肋骨弓に沿う部位に明瞭な緊張と圧痛。
- 体感所見:手足の冷え感。
施術方針
腹部の強い緊張が胃腸の動きを妨げ、冷え感も増幅していると考え、三陰交・合谷を中心に少数鍼で「お腹の硬さ」を解消。必要に応じて陰谷で下腹部の反応を補助し、食事がとれる状態の回復と再発予防を目指した。
経過
- 1診目:三陰交・合谷で腹部の緊張が低下。
- 2診目(+2日):冷え感は消失。ただし下痢は持続し固形物はまだ不安。初診同様の配穴に陰谷(膝裏)を追加。
- 3診目(翌日):前夜は夕食を摂取しても問題なし。この朝も食事ができた。
- 4診目(+5日):下痢は止まるが胃のむかつきが残存。腕の胃系に関わるツボ(合谷を中心)を調整。
- 5診目(+2日):下痢・むかつきともに消失。
- 6〜7診目:症状なく経過。食事量も戻り、再発なしのため治療を終了。
使用した主なツボ
- 三陰交(R/L)
- 合谷(R/L)
- 陰谷(L)
まとめ・考察
胃のむかつきや下痢が続くときは、腹部に特有の硬さや軽い圧痛が見られることが多く、冷え感とも関連します。
手足・膝裏の少数鍼でお腹の緊張をゆるめることで、食事がとりやすくなり、その後の体力回復と症状の安定につながりました。再発を防ぐには、食事内容や睡眠・体を冷やし過ぎない工夫も併せて大切です。
※本記事は一症例の経過であり、効果には個人差があります。気になる症状は医療機関での診断と併せてご相談ください。
よくあるご質問
Q. 食後の下痢や胃のむかつき、鍼灸で対策できますか?
A. 個人差はありますが、腹部の硬さや手足の緊張をゆるめ、自律神経と胃腸の動きを整えることで、症状の軽減や食事再開につながるケースがあります。早めのケアがおすすめです。
Q. 三陰交・合谷・陰谷は自分で押しても良いですか?
A. やさしい按圧はセルフケアとして有効な場合があります。目安は「痛気持ちいい圧」で各30秒×1〜2セット、1日1〜2回。悪化する場合や妊娠中(特に三陰交)は自己刺激を控え、来院時にご相談ください。
Q. 通院ペースや回数の目安は?
A. 初期は週1〜2回で反応を見ながら間隔を延ばすことが多いです。本症例では3月中に計7回で安定しましたが、状態により異なります。
Q. どんな症状は先に医療機関の受診が必要?
A. 高熱、強い腹痛や血便、嘔吐が続く、脱水(口渇・尿量低下・めまい)、体重減少、長期化などはまず医療機関へ。鍼灸は併用のタイミングをご相談ください。
Q. 冷えを感じるときのセルフケアは?
A. 腹部と足首の保温、冷たい飲食やアルコールを控える、白湯を少量ずつ、よく噛んで食べる、十分な睡眠が有効です。
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