砂嵐のような強い「サー」という耳鳴りと、右耳の聴力低下を伴う突発性難聴の症例です。入院治療(鼓室内ステロイド・高圧酸素療法 など)でも効果を感じられず、ご来院後に鍼灸を継続することで段階的に改善が進みました。
患者プロフィール
- 患者:女性・30代
- 来院時期:2024年11月
- 主訴:右耳の難聴、砂嵐のような強い耳鳴り(「サー/ボワーン」)、飛行機搭乗後の悪化
発症から来院までの経過
2024年9月に喉の痛み。その3日後、右耳が「もわっ」としてイヤホンの聞こえが悪いことに気づく。耳鼻科で突発性難聴と診断。一時は検査値が少し回復するも、10月14日の出張で飛行機に搭乗した際に「ボワーン」と強い耳鳴りが出現し、検査値が悪化。
10月21日から入院治療(鼓室内ステロイド投与、高圧酸素療法、循環改善薬、星状神経節レーザー刺激)を受けるが効果を実感できず。「このまま回復しないかも」と不安になるが、専門院での鍼灸に希望を見出し、11月5日に当院受診。
同時に治療した症状
- 肩こり
- 腰痛
- 膝痛
鍼灸治療と経過
- 初診:右肩の強いコリと顎の不調を確認。手・骨盤のツボに鍼 → 肩のコリが解消、顎の動きがスムーズに。
- 〜4診目:同様の施術を継続。検査値が回復。肩の重さが消え、「カラオケでも耳は辛くなかった」との変化。
- 12/9:検査で再び悪化。不眠の訴えあり → 腰のツボを用いると睡眠改善・耳鳴り軽減。
- 〜15診目:検査値は小康状態。仕事復帰へのストレスを自覚 → ストレス時に出る緊張に対応し、スネのツボを追加。
- 1/6:大幅に回復。以後、順調に上向き。
- 19診目:難聴・耳鳴りとも日常活動では気にならないレベルに。通院間隔を延長。
- 20診目後:検査も良好で、大学病院から「通院の必要はない」と説明。長時間のカラオケ後に耳奥の痛みが出る以外は問題なし。ご本人の希望でさらなる改善を目指し継続中。
聴力検査(オージオグラム)の推移






使用した主なツボ
- 外谷(R)
- 胞肓(R)
- 腎兪(R)
- 玖路(R)
考察
突発性難聴・耳鳴りに多い首肩〜顎の強い緊張が見られ、そこに的を絞って施術。途中で数値が下がる局面があったが、不眠やストレスなど悪化要因をその都度ケアし、再び改善軌道に乗せられた。症状の改善は施術者だけでなく、患者さんが不安の中でも計画的に通院を継続してくださったことにより達成できた。
▶ 札幌市の鍼灸による突発性難聴・耳鳴り治療ページ をご覧ください。
突発性難聴と鍼灸に関するよくある質問
Q1. 病院治療で効果がなくても鍼灸で良くなりますか?
A. 個人差はありますが、首・肩・顎・体幹の緊張を緩めて内耳の血流や神経の働きを整えることで、耳鳴りや聴力の改善がみられる例があります。本症例でも段階的に回復しました。
Q2. 飛行機に乗って悪化しました。再び良くなる可能性はありますか?
A. 気圧変化や緊張で一時的に悪化しても、施術とセルフケアで再び回復軌道に乗ることがあります。今回も施術調整で大幅な改善が得られました。
Q3. 睡眠不足やストレスは耳鳴りに関係しますか?
A. はい。睡眠・ストレスは耳鳴りの増悪因子になりやすいです。腰や下肢のツボで自律神経を整えることで眠りの質が上がり、症状が軽減することがあります。
Q4. 何回くらいで良くなりますか?
A. 症状や発症からの期間で異なります。本症例では約20回で日常生活で気にならないレベルになり、検査も良好でした。
Q5. 耳に直接鍼をしますか?
A. 耳そのものではなく、手首・骨盤・スネなど関連部位に少数のやさしい鍼を行います。体の状態に合わせて刺激量を調整します。
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