突発性難聴は多くの場合原因不明とされますが、外傷や首・肩の過緊張が関与して発症することもあります。今回は交通事故後に発症した突発性難聴・耳鳴りが鍼灸治療で改善した症例をご紹介します。
患者プロフィール
- 患者:男性・30代
- 来院時期:2024年11月
- 主訴:右耳の難聴・耳鳴り・ノイズ混じりで音が割れる感覚
- 既往歴:交通事故(2024年7月10日)、首・肩の痛み、頭痛、めまい、手のしびれ
発症から来院までの経過
2024年7月10日、交通事故に遭い、数日後から肩・首の痛み、右こめかみの重い頭痛が出現。整形外科で異常なしと診断され、肩へのブロック注射を週1回続けるも改善なし。 9月17日に音楽ライブへ行った際、右耳の聞こえが悪化。耳鼻科で水平型突発性難聴と診断されステロイド(プレドニン)を10日間服用するも悪化。他院でイソバイドを2週間服用するも変化なし。 来院時は「ノイズ混じりで音が割れている」「会話が聞き取りにくい」「自分の声が不快」「キンキンした耳鳴り」「集中すると耳鳴り・頭痛・めまい・吐き気が出る」という状態でした。
治療と経過
初診では右首〜肩甲骨にかけての強い緊張を確認。肩甲骨の動きの制限が強い緊張を生み、難聴の一因になっていると推察。交通事故の影響を考慮し、仙腸関節と肘のツボに鍼を施術。肩甲骨周辺の緊張が緩和し、手のしびれが消失。さらに手と足のツボで首の緊張が軽減し、頭痛・耳鳴りも軽減しました。
- 3診目:高音の耳鳴りが消失
- 5診目:頭痛が再発しなくなる
- 6診目:耳鳴りのない時間が出てくる、首・肩の痛み消失
- 7診目:耳鳴りほぼ消失、聞こえはほぼ回復、生活に支障なし
聴力検査(オージオグラム)の推移


同時に改善した症状
- 首・肩の痛み
- 頭痛
- めまい
- 手のしびれ
使用した主なツボ
- 膀胱兪(右)
- 肘七(右)
- 申脈(右)
考察
交通事故による影響が、時間をかけて突発性難聴を引き起こしたと考えられる症例です。事故から2か月経過して発症したため病院では関連性が見いだせなかったと思われますが、事故の衝撃で生じた肘や足の動きの歪みが首や肩の過緊張を招き、内耳の血流障害に繋がったと推察します。今回は原因部位を見極めて施術することで早期改善が可能となりました。
▶ 札幌市の鍼灸による突発性難聴・耳鳴り治療ページ をご覧ください。
突発性難聴と鍼灸に関するよくある質問
Q1. 交通事故後に突発性難聴になることはありますか?
A. 事故の衝撃で首や肩の筋肉が緊張し、内耳の血流障害を引き起こすことで発症する可能性があります。画像診断で異常がなくても、筋緊張や身体の歪みが原因の場合があります。
Q2. 病院治療で改善しなかった場合でも効果はありますか?
A. 個人差はありますが、首肩の緊張や血流の滞りを改善することで、聴力や耳鳴りが回復するケースがあります。本症例も病院治療で改善しませんでしたが、鍼灸治療で改善がみられました。
Q3. 鍼は痛くないですか?
A. 細い鍼を使い、首や耳だけでなく手足や体幹の関連部位に施術します。刺激は最小限で、ほとんど痛みを感じません。
Q4. どのくらいの期間で改善しますか?
A. 状態や原因によりますが、本症例では週2回の施術を7回行い、耳鳴りがほぼ消失し聴力も回復しました。
Q5. 病院と併用できますか?
A. はい。耳鼻科での治療と併用しながら鍼灸を行うことが可能です。服薬や診断内容をお知らせください。
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