2017年11月より、私たち札幌鍼灸師チームは、北斗病院と共同研究を続けてきました。
多くの鍼灸師、医師、各分野の専門家、そして患者さん達と協力して、医療としての鍼灸の確立を目指してきました。
鍼灸が医療として認められるためには、標準治療の構築が不可欠です。
標準治療とは、大規模な臨床試験により高い治療効果と安全性が認められた、最も推奨される治療法です。
最も効果的な施術方法を求めて
最も推奨される治療法として認定されるためには、治療効果の比較が必要です。
私たちは、1つのツボに鍼をするごとに、体にどのような効果が現れるかをつぶさに観察してきました。
観察には、人間の目や手の他に、MEGという最先端の装置も利用しました。
また、再現性にもこだわりました。
再現性とは、誰が施術をしても、あるいは、誰が施術を受けても同様の効果が見込まれると言うことです。
高い再現性のあることが、医療として確立するためには重要です。
垣根を越えて
個人の能力によらず、流派にも関係なく、同じポイント(ツボ)に鍼をすれば、同じ効果が出ることを確認するために、多くの鍼灸師、そして、患者さんにご協力頂きました。
北斗病院での検証は延べ1700例を超えます。
また、協力頂いた鍼灸師の方達の日々の臨床からのフィードバックもあります。それを合わせると膨大な数のデータが集まっています。
検証で確認された効果は、医療として十分な評価が得られるものでした。
使ったツボに関しては、教科書通りに効果が出るものもあれば、全く出ないものもありました。予期せぬ効果が認められたツボもいくつもありました。病院ですから、普段は出会わないような症状に対しても、検証することが出来ました。
古典をはじめとする既存の流派の数々や、ときには整体、活法など、違う療法から着想を得ながら、トライ&エラーを繰り返してきました。
結果として、治療の精度が上がり、再現性のある効果を出せる症状が増えてきました。
また、MEGの結果から、なぜ、そのツボが効果を発揮するかの理屈がうっすらと見えてきています。この理屈に当てはめると、治療が効果的である確率が高くなります。仮説ではありますが、いいところいってるのではないかと思っています。
ツボロジーの誕生
この、共同研究での検証から得られた知見の集積と、そこから産まれた理論を合わせてツボロジーと名付けました。
ツボロジーの目的は、患者さんにとって最善の治療法を明らかにすることです。
そのために、理論先行では無く、あくまで臨床での観察に最も重きを置きます。
つまり、ツボロジーは治療原則としては未完成です。
今は最善とされているものでも、臨床で比較をして、より良いものがあれば、そちらを採用していきます。理論に関しても、より齟齬無く説明できるものがあれば、そちらを採用していきます。
ツボロジーは永遠に未完成ですが、多くの方の協力を仰ぎながら、完成度を上げていきたいと思っています。
ツボロジーに関しては、検証で効果的であったものを広く公開していきます。是非、使っていただいて、フィードバックを頂けたらと思います。
より効果的なものがあれば、お伝えください。検証させていただき、より効果的であれば、データを含めて発表させていただきます。
効果があり、比較できるものであれば、流派は問いません。
患者さんのために、未来の鍼灸師のために
鍼灸は医療として確立することで、さらに多くの人に役立つことが出来ると、私は信じています。鍼灸の未来はここにあると思っています。
医療としての鍼灸治療を必要とする患者さん達のため、医療人として活躍する未来の鍼灸師のため、皆様のお力をお貸し下さい。
鍼灸師・谷地一博
コメント
[…] これを解消するツボの1つとして、ツボロジーのツボ、後金門を紹介します。 […]
[…] ツボロジーは、医師・医学博士・医学修士・鍼灸師が中心となって検証し、構築しているツボ理論です。 […]